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- 結果的にコロコロコミックで紹介されるなど、子ども向けというラインになっていますが、子ども向けのゲームに対する思いはありますか。
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- 中嶋
- うちの子どもが楽しめるようなものを作るっていうのは必要条件だなと思ってます。うちの子どもが興味を持たないようなものだったら、多くの子どももきっと興味を持たないだろうと。その反対は成り立たないと思うんです。でもアクションゲーム好きな人って、別に年齢感あまりなくある一定の割合でいますよね。ちゃんと導入ができていて、急にハードルが上がらないゲームになっているかどうか、自分の子どものやっているのを見ながらチェックしてます。
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- お子さんがデバッグしていたんですね。
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- 中嶋
- それで小学生のテストをして、興味を持ってくれる人が多かったみたいなので。でも、難しいという意見も出てました。
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- ゲームそのものが。
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- 中嶋
- こうであるべきっていうのは考えてなかったですけど、結構、どっちも目指すのって、かなり難しい道ですね。マイクラは子どもがめちゃくちゃ気に入ったからヒットした面が大きいと思うんです。ストーリーとかがあったり、筋道が立っていると興味持てなくなるみたいですよね。こうやれたら効率がいいとか、確実に強くなるとか、ストーリーが進むことに興味がもともとない。とにかく壊しまくってみるとか積み上げまくってみるというのはやりたいんです。チュートリアルがしっかりしているゲームとか、筋道がしっかりしているゲームっていうのは長続きしないんですよ。
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- 齊藤
- 飽きるだろうね。
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- 中嶋
- 子どもがやるとそうでないほうが良いんですが、今度は大人がそれに興味を持てないんです。マイクラはクリエイティブモードが子ども用、サバイバルが大人用と、はっきりと両方用意して、うまいことはまってるんです。
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- 齊藤
- ドラクエは、全年齢対象だからだけど、あまり子どもという意識はしてないですね。子どもだから難しいゲームは無理だろうって思われがちですが、子どものほうが全然上手だし。
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- 中嶋
- 反対ですよね。
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- 齊藤
- だから、あまり子ども向けって考えないほうがいい気がしますね。もちろん、表現としての大人向け、子ども向けはあるにせよ、ゲームデザイン的な子ども、大人は私はあまり意識しなくていいかなと。
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- 齊藤
- 面白いものだったら子どもは喜んでやるし、子どもは難しすぎるなんていうことはないはずです。子どものほうが、よっぽど順応しますよ。
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- 中嶋
- 子どもはまずやっちゃいますもんね。
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- 齊藤
- おっさんは思考してから手に行動が伝わるまでのタイムロスがありますから(笑)。
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- 中嶋
- 年齢とともに、だんだんゲームが下手になっていく。
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- 齊藤
- そうですね。
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- ゲームの作り方、今と昔で違いはありますか。
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- 齊藤
- 『エアシップQ』ぐらいの人数の規模の現場は、スーパーファミコンやプレイステーション初期もいっぱいあったんで、ちょっとうらやましいですね。大変なのは大変だと思うんですけれど、本当は若い人たちにそういう現場をやらせたい。縦割りじゃなくて、何でもやりなさい。逆に言えば、何でもできます。
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- 加藤
- ある程度、少人数で。
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- 齊藤
- それに昔は、比較的若いプロデューサーがこれやりたいと言ったことをやってみて、当たるのもはっけ八卦、当たらぬも八卦、みたいなやり方だったよね。
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- 加藤
- そうですね。
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- 齊藤
- 要はたくさん稼げるやつが1本あれば、何とかなるんだよね。だから、新しいものも出てくるし。今のコンソールって、予算も規模も考えたらそんなに簡単にホイホイできない。それを考えると、いい時代だったと思うね。チャレンジしやすいし、しがいがある。
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- 加藤
- 僕らもエニックスに入れてもらって、結構、本当に何もできない時点でもプロデュース業みたいなのを何本かやらせていただきました。携帯ゲームが多かったですけど。
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- 齊藤
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それが1周回って、今はスマートフォンのアプリになってるけど、お客さんがもう目が肥えてしまっているので、コンシューマーと変わらないぐらいのバジェットを組まないと、なかなか難しくなってきている。で、もう1周回って、それこそ『エアシップQ』もそうだったけど、インディーゲーム*1。STEAM*2で売ったりとか、チャレンジできる場面というのがゼロじゃないのがうらやましいし、うまいことやったなと思ってます。
*1 個人や小規模の開発チームなどによって作られたゲームタイトルの総称
*2 アメリカのValve社提供のPCゲームダウンロード販売プラットフォーム
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- 日本のインディーゲームの今後についてはどうお考えですか。
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- 齊藤
- 当時はインディーゲームという言葉すらなかったけど、リンドブルムと一番初めにやった『みんなdeクエスト』はまさにインディーゲームだったと思うんですよね。特にコンシューマーは、『エアシップQ』みたいなタイトルって、なかなか出づらい。
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- そうですね。
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- 齊藤
- ただ、チャンスは十分ある。ましてや昔より開発環境では、いくらでも独学でできます。あわよくばプロデューサー兼ディレクター兼プログラマー兼プランナー兼デザイナーだってできるので、バンバン出てきたらいいなと思います。バンドやろうぜ!ぐらいの感覚で得意・不得意が分かっている連中で、俺何やる、おまえ何やれ、と割り振れる環境もあります。金持ちになりたいでも、面白いゲーム作りたいでも、それぞれのモチベーションでやってもらいたいなと思いますね。『エアシップQ』はいわゆるマイナータイトルという前提がまずあったところからスタートして、コロコロコミックに取り上げてもらったり、Cygamesさんに出資してもらったりして、途中からインディーゲームじゃなくなった。そういう道もあるというのは、夢があると思います。
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- 加藤
- ゲーム作れる人たちが集まって何かするという方向性は確かに昔よりやりやすいですね。あとは、インディーということだけじゃなく、結局タイトルを認識してもらうようにしないといけない。以前よりゲームが作りやすくなった半面、膨大な量のゲームが出ている。インディーという言葉にこだわりがあるわけではないですけど、認識してもらうための一つではあると思います。
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- 中嶋
- あとは、あんまりたくさんのテキストとかセリフを使わないゲームというジャンルもいっぱいあると思います。昔に比べて圧倒的にSTEAMとかで世界中で売りやすいので。
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- 齊藤
- そう、RPGとかじゃなくてね。(笑)
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- 中嶋
- 次々にSTEAMで世界中で売り出して、1人で作っているゲームもそれこそいっぱいあるんですよ。それでどんどん20万、30万って、伸ばしていたりするんで、すごいなと思います。触ったときの感じが面白くて言語的なこともないから、全世界の人に通じますよ。
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齊藤 陽介(さいとう ようすけ)
スクウェア・エニックス執行役員、エグゼクティブ・プロデューサー。黎明期から旧エニックスでオンラインゲームの開発を行ってきた開発者。代表作には『アストロノーカ』、『クロスゲート』、『ニーア レプリカント/ゲシュタルト』、2012年にサービスを開始したMMORPG『ドラゴンクエストX オンライン』のプロデューサーを担当。また、昨年発表した『ニーア オートマタ』『ドラゴンクエストXI』のプロデューサーを担当。
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加藤 拓(かとう たく)
株式会社ミラクルポジティブ 代表取締役。ゲームプロデューサー。
株式会社スクウェア・エニックス在籍時に、『みんなdeクエスト』、モバゲータウン用RPG「エルアーク』のプロデュースなどを担当。2010年に株式会社ミラクルポジティブを設立。
『エアシップQ』の生みの親として奔走し、株式会社Cygamesからの7000万円の資金調達に成功。同作のプロデューサーを担当する。 -
中嶋 謙互(なかじま けんご)
小学生の時からゲームプログラミングを始め、大学入学後ゲーム制作を開始。96年、世界初のJavaアプレットを用いたMMORPGを制作し、98年にはその続編LifestormシリーズをWindowsで発売、ヒット。2001年にはオンラインゲーム用ミドルウェアVCEを開発し、独自に開発した『gumonji』を含めて約50社で利用される。『エアシップQ』のメインプログラマー兼ディレクターを担当する。